18時から22時
父の誕生日、会社を定時にあがって実家に向かった。実家には長いこと帰っておらず、また連絡もしていなかったので両親とも驚いていた。私としてはサプライ ズというより、なんだかどうしても、家に帰ってお祝いしたくてならなくなったというか。普段あまりに何にもせず、好き勝手に生かしてもらっている親不 孝者なので。
とはいえせっかく当日帰るなら、連絡なしに突然娘が帰ってきた方が、それもまた一つのプレゼントになりましょうということで、いつもなら最寄り駅まで迎えに来てもらうところ、この日は駅から家まで一人てくてくと歩いて帰った。
久しぶりに訪れた街のお店が入れ替わっていたり、何かあったようななかったようなところに駐車場やマンションができていたりするのは東京でもよくあること だけど、この辺では畑や空き地だったはずのところに道ができ住宅街ができていたりするから驚く。そういうのを目にすると、出ていった身で身勝手だなぁと思 いつつも、ショックで肩を落としてしまう。
それでも、右も左も畑で、向こうの遠くのほうまで見渡せて、空が360度に広がっている場所が残っていて、あぁ、ここは無事だったか、あぁ、空は広いなぁとその景色にしばしみとれた。
家に到着。門を静かに開けて、玄関を手際よくガチャッと開けてリビングへ。第一声「お誕生日おめでとう!」と中に入っていくと、父が「おぉ、おぉ、おぉ」と、母が「あら、あら、あら」と笑顔と驚き顔を半分こずつにして迎えてくれた。
誕生日プレゼントに手袋をあげて、あと今月の推薦図書をあげて、いろいろおしゃべりして。早寝の父が床につくと、今度は母と二人で一時間くらいあれこれとおしゃべりした。
実家にいたのは2時間くらい。22時には家を出て、帰りは最寄駅まで車で送ってもらって東京に帰ってきた。18時から22時。普段なら会社であっという間 に過ぎてしまう時間も、本人の使いようによって、まったく別の過ごし方ができるんだな、と体で思った。両親に幸せをあげにいったつもりが、私が持ち帰って きたもののほうがずっと、大きかったみたいだ。
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