限界
限界を破ってしまったことがある。中でも最たる経験を、今日は想い出していた。私は自分の限界を知り、少なくとも現時点の自分の限界はココなんだと、多種の入り混じった痛みとともに自覚した。
それがいかに長期戦になっても最後まで責任をもつだけの覚悟なしに、生半可な気持ちで限界に近づくのは、時としてとても危険なことで、とても不誠実なことになる。ということを、そのとき大いに学んだのだった。
以来、必要以上に臆病な面もできた。多くの事柄は、スタート地点ではどれだけの覚悟が必要になるのかわからない。ゆえに、一度限界に達した経験をもってしまうと、あの極限に達する覚悟をもってして臨めないなら近づくなと様々な場面で無言の警告を受けるようになる。なんとなく気づいてはいたけど、はっきりした自覚ないまま、どこかで臆病なブレーキをかけ続けてきた。
今日は今までにない全体観をもってそれに向き合えた気がする。なんだかすーっと、救われた気がしたのだった。自分を縛り続けてきた緊張の糸が、少しゆるまったのか、少しほどけたのか、気分が楽になった。まだまだイメージは茫漠としたままだけれど、少しずつ治癒していくのかもしれない。
役割には範囲と限界をもつこと、そして自分の弱さや力の限界を心得ておくこともとても大事なことだ。限界を破ることでどんな誤りが起こりうるかも十分考えられていなければいけない。でも、限界の向かい側にある、可能性に向かう気持ちを失っちゃ先がない。限界と可能性、両方に重みを感じ、両方に向き合いながら、可能性に一歩を踏み出せる人でありたいと思う。
[参考]「カウンセリングの実際問題」河合隼雄著(誠信書房)
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