人生は一度きり
誰もが認めるとても大切なことなんだけど、毎日せわしなく過ごしていると忘れがちなことっていうのがいろいろある。その中でも最も大切なことの一つに挙げられるのが「人生は一度きり」というやつだ。
みんながわかっていることだけど、知ってるだけじゃなくて、普段から(とは言わないまでも、節目節目で)自分でこれを意識して生きているのと、しないで生きているのとでは、大きな違いがある、というか違いが出てくる、と思う。
でも、別に意識しなくても生きられるし、また意識して生きることの有意味性を実感的にとらえる機会も、普通に生活していく中でそう多くは発生しないから、なんとなくせわしない毎日に流されがちな知識だと思う。私はそう。
私が初めて「人生は一度きり」という言葉を発したのは、たぶん中学生くらいじゃなかったかなぁと思う。友だちと話している中で、そういうことを言ったことがあるような気がする。よく憶えていないけど。
その後、私が20歳を迎えた頃に母が言った「人生は一度きり」という言葉が、なんだか鮮明に記憶に残っている。それは、その言葉の持つ意味自体が鮮烈な印象を与えたのではなくて、母がそういう価値観をもって生きていること、さらにそういうことを自分の娘に押し付けでなくさりげなく語り継ぐ彼女の行為に対して、静かに心揺さぶられたし、それを誇りに思ったからだと思う。
先日、父の誕生日会を開いたときのこと。2人でおしゃべりしていたら、父が「人生は一度きりだから」と言った。母と同じことを言うんだな、母と同じものを持っているんだな、と10年前の記憶を思い出しながら、私は父のおしゃべりを聴いていた。父もまた、何を押し付けるでもなく、自分の話をする中でそれを口にしていた。むしろ自分の価値観を押し付けないがために、「俺にとっても、お前にとっても人生は一度きりなんだ」とでもいうように、それを語り継いだ。
私はこの両親に育てられたのだと思った。私が中学時代「人生は一度きり」と思っていたのは、たぶんこの両親に育てられていたからなんだろう。私がこの先もそれを明示的に意識して生きていきたいと思うのも、この両親に育てられたからなんだろう。そういうものは、きちんと受け継いで大切にしたい。今日、なんとなくいろんなものを見たり聴いたり読んだりしていたら、そんなことを思ったのでした。今年の反省と来年の目標、きちんと整理して考えよう。
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