おとなの学びを創る
今日は先々を見据えて、とあるセミナーに参加した。ひと通りの講演終了後、お仕事の話も兼ねて講演者の方々のところへご挨拶にうかがったら、一人の講演者が名刺交換を終えるやいなや、穏やかな口調で私にこう尋ねてきた。
「どうでしたか?」
セミナーが終了してすぐに前の方へ出て行ったので、たぶん一番初めにその方にお声がけした受講者は私だったと思うのだけど、セミナー終了後受講者にまず「どうでしたか?」と訊きたくなるこの方の心持ちって、もの静かにものすごいんじゃないかと思った。
この方、日本どころか米国のインターネット黎明期から本場で活躍されてきたような方なのだけど、まったく横柄なところも気取ったところもなく、自分の話が受講者にとってどんな感じだったのか、為になったのか、面白かったのか、とても率直に、とても純粋に、それを訊きたがっている様子だった。どんな意見でも、受け入れ態勢万全だよといった穏やかな配慮もかもしだしていた。
最近、「おとなの学びを創る」というかなりマニアックな本を読んで、おとなの学習について学んでいるのだけど、本と絡ませつつ、こういう人の姿勢や振舞いに学ぶところはとても大きい。自分のやっていることに対して、振り返りを忘れない。より前に歩を進めるために、より上に引き上げるために、自分がしたことを批判的にみてみるということを恐れない。いや、怖くてもやるのだ。そして見直すべきところを発掘しては、自分のやり方を面倒でも再構成する。
「問題を真正面から受け入れて、自分のやり方を再構成する」のって、まったく新しいものを知っていく子どもの学習プロセスとは違う道のりを歩む必要がある。自分のやり方のダメなところを受け容れなきゃならないプライドとの戦いもあるし、自分のやり方を一旦崩してから再構成するだけのスキルも求められる。そこら辺を乗り越える「おとな学習」の基礎力を備えた人が、学習とは認識せずとも日々学習をして、歳を重ねてもキャリアを伸ばしていくんだろう。
「おとな」ならではの学びプロセス、しっかり勉強して、そういうことを踏まえた効果的な学習機会を提供していけるキャリアの強力サポーターになりたい。そして私自身もしっかり、おとなの学習の基礎力を磨いていかないと。
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