哀愁のおじさん
先週職場で流行った成分解析。まだやっていない人はやってみよう。自分のフルネームを漢字で入力して「成分を解析する」ボタンを押せば結果が出る。
4つくらいの要素から成り立っていることが多いらしいけど、私は2つだった。それも「乙女心94%とアルコール6%で出来ています」のだそうで、乙女心の純度高し。ところで乙女心って何だ?それも、ちょっと酔っ払っている。要素は人によって優しさだったり心の壁だったり明太子だったりいろいろあるらしい。
さて今日は土曜出勤だったんだけど、18時半には切り上げて薄暗くなった頃に帰ってきた。それで近所を歩いていたら向こうから自転車に乗ったおじさんがやってきて、私の目の前で自転車を止めた。なんだ?と思って目をやると、おじさんは第一声こう話しかけてきた。「お姉さん、この近所に住んでるの?」と。す、すごいな。いきなり自転車止めてそんな質問するなんて。このご時世、この時間帯じゃ「どうか身構えてください」と懇願しているようなものだ。
ここまでストレートにくると、逆に何の悪気もないんだろうという気がしてくる。それで「はい」と答えると、おじさんの第二声は「新聞とらない?」。なるほどー、そういうことか!と一人で納得。とはいえ、お受けすることはできず「すいません、新聞はとらないことにしているので」。そう頭を下げると、おじさんは「そうかー」と苦笑い。明らかに通りすがり道端で話しているとは思えない新聞勧誘の会話を2、3やりとり、おじさんはまた静かに自転車をこぎ出した。
なんというか、ダメもとではあったんだけど、営業所まで残り100mくらいの地点で最後の最後の賭け、なんかの間違いであっさり「いいですよ」と返ってきたら、今日の疲れも全部洗い流せるのに、みたいな感じだった。日暮れまで散々同じフレーズを口にして、これが今日最後の「新聞とらない?」だったんだろうなぁと、そのおじさんの一日を勝手に振り返って「お疲れさまでした」と心の中でつぶやく。すみません、ヴィーナスじゃなくて。
その後、何度か振り返って、小さくなっていくおじさんの後ろ姿に視線を送ったけれど、その背中に「そうか、これが哀愁ってやつかぁ」と思う。思わされる。彼の姿勢、表情、視線、声の抑揚、あらゆるところに哀愁が感じられた。「あなたは哀愁94%と無邪気6%で出来ています」とか、そんな感じだった。
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