かなわないもの
今日は思いっきり早く帰ってきた。19時くらいに会社を後にして、20時前に帰宅。なぜってそれは台風だから。
私は自然には敬意と畏れの気持ちを抱いて暮らすべきだと考えていて、だから台風の日には「へっちゃらさ」なんて決して思わないで、「逆らう気などさらさらございません」と背中を丸め、できるだけ早く外出先から戻って家にこもるようにしている。そうして家の窓から空を見上げて「私はあなたを畏れていますよー、だから堪忍してー」とアピールする。
何度「思いのほかあっさりしてたね」と台風が行き過ぎ、みんなが「どうせ今回も……」と気の緩みを見せようと、私の自然に対する畏れは揺るがない。
かなわないものがあるんだという意識は、私にとってとても大切なものだと思う。「敵わないものなんて何もない」「叶わないものなんて何もない」なんて世界、私には恐ろしくて生きていけない気がする。無重力状態の宇宙にいきなり放り出されるような感じだ。放り出されたことないけど。
人によって自分の目に映る世界はそれぞれで、人によってはもっと自由のきく、もっと可能性にあふれた世界が広がっているのかもしれない。その方が心地よいと感じれば、自分の目に映る世界をそのように導き、新しい自由を開拓していくのだろう。そういう人たちの恩恵を受けて、私も今この豊かな社会に住まわせてもらっているに違いない。
それでもやっぱり、私の目に映る世界がそれではちょっと恐ろしい。自分にはどうにもならないものがある世界、敵わないもの、叶わないものがある世界に生きていたい。そういうものに尊敬や畏怖の念を抱き、寄りかかったり心を配ったり身を小さくしながら生きていたい。そんなことを思う台風の夜であるよ。
« 平日の休日日記 | トップページ | そういえば、夏が終わる »
コメント