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2005-03-12

気持ちの伝染

これだけインフルエンザが大流行の中、私はこの冬風邪っぽいものをひいていない。もしかしてこのまま乗り切れるのかと淡い期待を抱いていたところで、今日はちょっと体調を崩してしまった。昼を眠って過ごし夜から細々活動。

何かしら食べたいなぁと思い外に出ていく。角を曲がると、10メートル先の自販機の脇に置いてあるゴミ箱が風に吹かれて通り側に倒れているのが目に入る。フタがはずれて中の空き缶がいくつか路上に広がり出てしまっている。あらあら起こしてあげましょうと思いながら、歩を早めるでもなく近づいていく。

そのゴミ箱を挟んで向こう側からも、30代後半と思しき女性がこちらに近づいてきていた。私がそこに到着する一歩手前で、彼女がゴミ箱の脇を通り過ぎた。その直後私が路上にしゃがみこんだ。ひとまず転がっている缶からをゴミ箱に戻すことにする。おそらくそれを彼女は視界に捕らえた。そこで一歩通り過ぎた彼女がさっと引き返してきて、私の隣にしゃがみ缶からを拾い出した。

「すみません」というのもおかしいので、笑いかけて一緒に拾う。缶からをゴミ箱に戻し終えると、その身を起こしてやる。やっぱり何か言いたいので、彼女に「ありがとうございます」と言う。彼女は「こちらこそ」と微笑み返す。そして別れる。

私は気分が良かった。彼女もきっと気分がいいはずだ。そう思うと、ますます気分が良くなった。私だっていつも倒れたゴミ箱を起こして歩けているわけではないし、彼女だっていつも倒れたゴミ箱を放って歩くわけではないだろう。たまたまの出来事。大切なのは、人は人の優しさに触れることで自分の中にある優しさの素に息を吹き込み、それを体現していくことができるということ。

いいのも悪いのもひっくるめて、気持ちは人に伝染するもの。それが通りすがりの人であっても。だから、いい気持ちを伝えていくのがいい。誰かがじゃなくて、あなたがじゃなくて、私がいつもそうあれるようになればいい。それはインフルエンザのように強力なウイルスになって人に伝染するに違いないと思う。

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