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2017-11-07

教育とコンサルティングの境い目

特に解決をみたいわけでもない与太話を、もやもやした状態のまま書く!宣言をした上で、クライアントに提供するサービスとしての「教育」と「コンサルティング」の境い目について。

Webを取り巻くデジタルマーケティング領域のコンサルタントに講師をお願いして、クライアントにオーダーメイドの研修を提供することがある。私はクライアントと講師をつなぐ裏方仕事なのだけど、提供する研修内容を講師と詰めていると、打合せの場で浮上するのが、教育とコンサルティングの境い目だ。

具体的なシーンとしては、講師(コンサルタント)が研修で取り組む演習ネタとして、クライアント先の実案件を直接取り上げたがる一方で、私が「しかし、そこまで行くとコンサルティングになってしまう」と制する、ということがある。

私もオーダーメイド研修を専門にしているので、誰にでも汎用的に使える教材作りは好まない。クライアントの事業内容や業務環境、受講者が手がける案件のタイプや規模、その人の役割や文脈などをヒアリングし、ときには実際に作ったドキュメントも見せてもらった上で、受講者の実務シーンを想定したリアリティある演習課題を作りこむ。それに熱心に取り組むことに異存はない。

ただ、受講者が「今」や「これから」手がける案件そのものを演習課題にしてしまうと、それはもうコンサルティングであり、教育とは別のサービスになる。講師が研修当日、演習のまとめに回答例を示した場合、たとえ「これはあくまで回答の一例ですよ」と付け加えたとしても、それはそのまま実案件に採用されてしまう可能性大だし、「これこそ正解」たる解決策なり納品物のように見えてしまうのは避けられないことだ。

でも、もともとコンサルティング案件としては受託していないので、それに十分な調査・分析過程を踏んでいない。見積り項目も予算も、かかる準備期間も、教育案件を前提に進めている。そんな状態で、回答例が独り歩きしては無責任だし、そもそも当初先方から求められたスコープからずれてしまっているのが一番の問題だ。

先方は、演習に取り上げた課題の答えを出来上がりの状態で欲しているのではなくて(いや、それはそれで欲していることもあろうが)、そこに自力でたどり着く能力開発を志向して、こちらに相談を持ちかけたのだ。それは自社スタッフの成長(知識・スキル獲得や態度変容)であって、今回かぎり通用する出来上がりの納品ではない。スタッフが能力を高め、個々のパフォーマンスが向上し、それによって課題が定常的に解決されるようになり、組織が中長期で盤石に成長していく体制づくりを志向しているのだ。

研修一回終えて、会場から出てきたスタッフが大いなる成長を遂げ、ハイパフォーマーに変貌しているというのは過剰な期待だ。でも、研修によって気づきや知識を得て、それが現場で発揮され、さらなる継続学習や業務改善につながっていく、その展開の一翼を担うことは可能だ。

私たちはそこに働きかけ、そこに効くように働く。そのための働き方は、とっかかりの調査・分析からして、コンサルティング案件のそれとは向きが違うし、別ものだと思う。どちらがより大きな話というのではなく、解決アプローチの違いだと思う。

業務寄りのコンサルティングのほうが適合するケースだってごまんとあるだろうし、組み合わせ技でフェーズを分けて教育→コンサルに引き継ぐやり方もあれば、コンサル→教育といった逆向き施策もある。別にどっちか一つ選ばないといけないという話でもない。それは依頼するクライアントの置かれた現状や考え方、こちらの提案次第だ。

ぐちゃぐちゃ書いている教育従事者の私も、実際の境い目は案件ごとに曖昧だし、また曖昧でいいとも思っている。研修の演習課題を実践的に作り込んでいこうとすると、落としどころは常に手探りだ。

日頃コンサルティングに向かう講師からすると、介入の仕方が間接的に過ぎる感じがして、もどかしかったりする。ときにクライアントも、くれるものなら今の問題の答えが欲しいと思う。設計・開発過程では、この辺ぶれやすい。

その揺れを都度キャッチして「ちょっと待った」を出して、話し合うことを大事にしたい。「何のためにやっているから、どう落とし込むべきか」の一貫性に注意を払って、求めるゴールと進む道がぶれないように。

線を引くのは自分なのだ。いらない線は引かない。引くべき線は引く。そうして頭でっかちにならず、力みなくクライアントの話をよく聴き、講師との腹割った議論の中で、ちょうど良い落としどころを案件ごとに探って、向きを間違えず、自分で引いた線上を確かな足取りで進みたい。やはり、なんとも言えない話に終わった。

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