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2015-11-02

ビジネス教養としてのデザイン

佐藤好彦さんの「ビジネス教養としてのデザイン 資料作成で活きるシンプルデザインの考え方」を読んだ感想メモ。まさしく本のタイトルどおりを体現していて、期待を裏切らない。ビジネスシーンに焦点をあてて、解説も具体例も「ビジネスパーソン向け」に絶妙なチューニングを施してある。説明する言葉選びがシャープで、分かりやすい比喩が散りばめられていて、具体例は明日から使えるシンプルな落とし込み。相性もあると思うけど、読者ターゲットどんぴしゃりの私にとって、これはかなり良書だった。

パソコンでドキュメントを作成するときって、意識していようといまいと、いろんな視覚的表現を自分で選んでしまっている。フォントも、行間も、ものの配置も、色も、枠線の有り無しも、線の太さも、隣りとの余白の取り方も。

「なんとなくで、特に選んでいない」という場合、WordやPowerpointのデフォルト設定をそのまま、自分は選んでいるということになる。そうすると、どうなるか。決まって、ださくなる。デフォルトのままで作っていくと、ださく仕上がるようにできている(気がする)。そういう環境を前提とするならば、ドキュメントを作成する自分のところで、ある程度は選択してデザインすることが必要になる。

ださいというと印象論に終わってしまう感があるが、読みやすさ、分かりやすさといった機能面でも、視覚的表現は思いのほか影響力が大きい。しかし、ださいこと、読みにくいこと、分かりにくいことがわかっても、それを直すことができないということはよくある。受け手としてデザインの良し悪しを感じることと、作り手としてデザインを選べるかどうかは別ものなのだ。

この本は、一般のビジネスパーソンが作り手としてデザインを選べるようになるためのエッセンスを、論理的に、簡潔に説いている。76のヒントが、1トピック見開き2ページにまとまっていて、コラムのような感覚で読み進められる。右側の本文で、そのデザイン表現が受け手にとってどういう影響を与える機能をもっているかを手短に示す。

初心者がやりがちなことにもしっかり言及してくれている。なんでもかんでも中央揃えにしちゃうとか、安易に太い枠線つけちゃうとか、コントラストをつけないとか、行間がつまっているとか。そうするとどう良くないのかも端的に説明してある。

そういうことに言及してもらうことで、読み手たる私たちはそれを意識化し、そこを自分で選ぶって選択肢をもてるようになる。黒じゃなくてグレイを選ぶとか、枠線を1ポイントじゃなく0.25ポイントに細くするとか、枠線を引くんじゃなくて余白をとることで隣りの情報との区分けをするとかができるようになる。

左側の具体例も、シンプルで良い。文章を読むのに苦手意識がある人も、左ページの具体例を絵として見ていくだけで、エッセンスがつかめると思う。それぐらい具体例が良質。具体例を見ていって、興味があるものは補足的に文章も読んでみようってスタンスで開いてもいいと思う。

本文ではシンプルを説いているのに、そえられた具体例はゴテゴテで萎える…といったこともない。明日から普通に取り入れたいと思える自然な具体例だ。また、この本の作り自体が全体を通して、著者が大事だと説いていることを実践していて、非常に読みやすく仕上がっている。

本職のデザイナーさんで、客先での説明に苦労している人にも良いのではないか。私のようなデザイン素人の立場からすると、こんなふうに機能的にデザイン意図を説明してくれたらすっきりわかるという言葉の宝庫になっている。自分のデザイン説明のボキャブラリー不足に困っているなら、これはかなり使えるんじゃないかと思う。

あと、誤植が少ない。技術ノウハウ系の本だと、けっこう誤植が多いものも少なくない。これは極めて少なく、文字が間違っていないというのは、読みやすさの観点で大変に重要だなぁと、丁寧な仕事をありがたく思った。

見つけた箇所としては、P114「補色の色を組み合わせは」→「補色の色の組み合わせは」と、P160「低くくなります」→「低くなります」の2点。

あ、あと、私はKindleで読んだのだけど、P183、P185、P187だけ電子書籍の文章のデザインが他と違っているのは、ここだけ左ページ調整を落としてしまったからなのか?紙の本でも、こうなっているってことはないだろうなぁと思ったのだけど(うまく説明できないが)。

私は過去、同じターゲット向けの本を何冊か読んだことがあり、新発見というよりおさらい的な要素が多かったけど、わかっているつもりなのにできていないこともあり、そういうものを発見するのに役立った。

特に「多すぎる情報は無に等しい」というのは、ほんと毎回こういう再確認の機会に反省するところ。よくよくわかっているつもりなのに、やっぱり自分が「伝える側」に立っているときには、ボリューム過多に陥ってしまいがち。気をつけねば。って、これまで何度自分に言い聞かせたことか。

なんだかべた褒めな感じの文章になってしまったが、相性はあると思うので、興味をもった方は数トピック読んでみて、良さそうだったら買ってみてもいいかも。この手の本を一度も読んだことがない人は一冊読んでみると楽しめるし、使えると思う。

追記:なんか、この文章が「多すぎる情報は無に等しい」を体現しているようで恥ずかしい…

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