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2015-05-02

直接つながれる時代の「客」

しばらく前に、本を読んでいて(1冊はデザイン寄り、1冊はプログラミング寄りの仕事本)、これはちょっと報告したほうがいいかもなと思う内容的な誤記(と思われる箇所)があったので、それぞれの出版社にサイトの問い合わせフォームから連絡した。 

1社目、送った後に返事はなかったが、まぁそういうものだろう(必要に応じてサイトの正誤表に追加したり、重版の際に修正したりするんだろう。あるいは誤記じゃなかったのかも)と思って、そのまま忘れた。

数日後、別の本に誤記を発見して2社目に報告。送った数時間以内にメールで編集者から連絡があって、へぇ返事くれるんだなぁと感心。確かに誤記だということで、正誤表に反映する旨がメールに書かれていた(あとお礼とか、今後ともよろしくとか)。

数時間おいてサイトを見に行ってみたけれど、まだ正誤表には反映されておらず。まぁいろいろ手続きがあったり、他に優先度の高い仕事があったりするのだろうと、こちらもそのまま忘れた。

それから1か月ほど経ったある日のこと、そういえばと思い出す機会があり、2社目のサイトを見に行ってみた。が、正誤表はいまだ反映されていなかった。早々に丁寧なメールをくれたまでは良かったが、それだけに残念という感も芽生える。

それで、そういえばあの頃、もう1冊誤記の報告をした本があったなと思い出し、1社目のサイトを見にいってみたら、正誤表に反映されていた。連絡はなかったけど、きちんと反映してくれていたんだな。

「そのまま忘れた」の後、本当に忘れたままだったら、今頃1社目には何の印象をもつこともなく、2社目には丁寧な会社だなぁという印象を抱いていただろう。それが正誤表掲載の確認をしたことによって、1社目は愛想はないけれどしっかりやることはやってくれる企業に映り、2社目は反応は良くてもやることやってくれないんだとなぁ…というぼんやりした印象に。さすがにこの一件で「企業」全体の印象なり、サポート体制の良し悪しを決める気も起きないのだが、それは私がたまたまふけこんでいるからかもしれない。

ともかく、自分の「確認」行為のあるなしによって、相手の印象が逆さまに転じてしまうという体験が味わい深かった。

人の印象って、ゆるふわもやんとしたもので、印象をもたれる側だけで作っているのではないのだよな。印象をもつ側の自分が何かをしなかったことで見逃した情報があり、それによって抱き損ねた印象というのも、うようよあるんだろう。そして、そこで何かをした人は、そこで得た情報もふまえて、それに対する自分の印象を作っている。そんなものの集積で、人が何かに対してもつ印象は多様に変化する。自分の印象は、あくまで「自分の」もの。いろんなことが作用しながらも、最終的に決めているのは自分の側なのだ。この「印象」がもつ、ゆるふわもやんとした特性を十分にわきまえてつきあいたいところ。

話ついでに、ここ数年思っていたことメモ。ネット普及以降、製品・サービスを提供する側(企業)と享受する側(客)が直接つながれるようになったと言われて久しいけれど、「企業」側が悪戦苦闘しているのと別に、「客」としての私たちのふるまいも実に前時代的なところにとどまっていて、私は直接企業側に連絡を入れるって立ち回り方を習得できていないなって思うことがままある。

昔は、ビルの中と外が厚い壁で遮断されていた感じがあって、企業の中の人は1消費者にとって遠い存在だった。意見するために直接連絡をとったら、即刻自分がクレーマーになっちゃう感じ。だったけど、そういう関係性ってこの先は、古い、ださい、前時代的ってことになっていくのかもなぁなんて気もしている。

壁は薄くなり、仲介が失せて企業と客が直接つながる関係に帰っていくなら、「客」としての自分のふるまいも現代に寄せていけたらいいんじゃないかって、ここ数年思っている。そこは、おばちゃんおばちゃん言っていないで、取り入れていけたらいいんじゃないかなと。なぜそう思うか考えてみると、それは新しい関係なんじゃなくて、本来あるべき関係に帰する感じがあるからだろう。

身近なふるまいでいうと、何か製品・サービスなりに思うことがあったとき、SNS上でこぼすより、その企業の問い合わせフォームなりに書いて中の人に届けることを自然と選択肢にあげられる人間になりたいなって思う。なんでもかんでも送ればいいってことじゃないし、送る送らないはきちんと吟味するとして。本当にささやかなことだけど、誤記を見つけて出版社のサイトを開いたのは、そんな思いが後押ししている。

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