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2013-08-04

時間旅行と投資信託

冷凍睡眠して30年後に蘇生したりする時間旅行の小説を読んだ。冷凍睡眠サービスを売る会社では裁判所の手続きをやってくれたり、投資信託の話もセットで出てきて、なるほどなぁと思った。ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」というSF小説の名著だが、面白かった。科学技術のロマンに満ちていて、エンジニアの嫁入り図書によいのではないか。

それはさておき。確かにいざ冷凍催眠するとなったら、「で、あなたの財産はどうしていきますか?」という話になる。30年後蘇生したときを想定して自分の財産をどうするか現在の対処を考えねばならない。しかしこれはかなり難しい。

1ヶ月とか1年、長くとも数年単位ならまだどうにか見通しももてそうなものだが、10年も越すと蘇生後の世の中どうなっているかわかったものではない。この小説は1956年に発表されたものだが、2013年現在私たち庶民が心にもつ「先のことなんて読めやしない感」は当時の比ではないのではないか。

預金を銀行に預けておいて、30年後もその銀行はあるか、そのお金の価値はどうなっているか。不安なら、では何に変えるか。不動産?株?どれも跡形もなくどこかに沈んでいるのではないか。30年後、日本として日本はあるのだろうか。経済の仕組みは今のままだろうか。国という概念はこのまま残っているだろうか、とか思ってしまう。

果たしてこの星は…までいっちゃうと、なくなっていれば目覚めることもないから蘇生後の不安もなにもないわけだが。もう少し手前で、それなりに平静な世の中に蘇生したとして、30年後も同価値か、これは間違いなく価値があがっているだろう堅い資産ってなんだろう。善良で時勢にくわしく頭のよい人に運用を任せたいところだが、30年ともなるとその人が安泰かもわからない。生きていてもまったく人間が変わっているかもしれない。

そんなことを考えると、時間旅行って科学技術的に現実化しても、一般消費者向けのサービスとしてはけっこう狭い期間内に上限が設定されるのかしら、とか思う。国によって法律がちがって、自国では10年以内しか許されていないけれど、あの国にいけば100年、あの国では無制限みたいなことになるだろうか。

しかしまぁ、旅に出るイノベーターやアーリーアダプターは、そんなことで血迷う人たちではないのかもしれない。まったく資産がなくて気にすることがないか、すでに財を成していて失う不安感をもたないか、どんな時代に蘇生しても一から財を成す自信があるか、資産の保有など関係なく科学技術が進化した時代への期待で胸がいっぱいでとにかくその地を踏んでみたい一心か。

私はというと、この生を寿命のかぎりありがたく生きて、自然現象として、はい、終わりですと言われたらいさぎよくなくなろうと思っているタチなので、生きている間に時間旅行がものすごい流行って手軽なサービスになっても、旅に出る気はない。

それは、何か人間の大事な一線を超えてしまうようで恐れ多いというおばあちゃん的指向もあるし、現在の環境に恵まれているからこそということもあるし、生命に対して科学技術の進化に対して、貪欲さに欠けると言われれば、そうだなぁとも思う。

ただ、行きたい人が行くことは応援したいと思うので、いつかそういう日が来たときにとがめるようなことだけはしまいと、今から自分の精神を注意深く鍛え続けている。

まぁしかし、何かを主張するとき、この自分の主張って、どういう前提がくずれたら成立しなくなるかなぁって考えるのはけっこう有意義だ。たいていのことは、なんらかのことを無意識に前提として主張しているもので、それが危うくなったら思いのほかあっさりその主張を曲げたりするのだ。どんな状況でも絶対ってことはそうそうないものである。

というわけで、じゃあどういう事態になったら私は時間旅行に出る決断をするだろうかと考えてみた。で、やっぱり自分が出会ってきた人たちがこぞってどこかの時代に一斉移動するとかなったら、「えー、じ、じゃあ、私も行くー」と情けない決断をしそうだなぁと思った。

例えば今の時代にいてはどうにも生き残れない事態が発生してだな、それでもうみんな今ここを離れなくてはならないとか、そういう状況である。そこで「人類最後の一人になっても私は今ここに残るわ」とは言わなそうだ。それで、やっぱり人間に絶対ってないもんだなぁと思ったのだった。別段これといったオチはない。

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コメント

もしそうなったら金塊で残すかな~
でも時間旅行をする気にはなれないし、今の人生を全うするのが自分の分として、見苦しくあがかないことかな~・・・と思う。

おぉ、しない派。まぁこれまでの時代感に育まれると、そういう価値観になっていく感じはありますよね。かくいう私も。時代変わって当たり前が変われば、価値観も変わるのか。あるいは、そこは変わらないのか。興味深く見守ってまいります。

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