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2013-05-31

前向きに身の程をわきまえる

ここしばらく、ちょっと忙しい日々が続いている。忙しいといっても毎日午前様というわけじゃないが、抱えている案件がどれも分析・設計工程に集中しており、頭フル回転で取り組まないと何も進まない。なので、仕事時間がそのまま集中時間のような感じになる。というとさすがに言い過ぎだ。が、自席にいながら提案書や設計書の世界にトリップしている時間は長い。この没入感はわりかし好きで、やりがいもあるのだが、さすがに20時、21時ともなると頭の中がクタクタになる。それで夜がふける前に潔く帰る、そんな日々である。

この時期にお客さんからのご相談が立て続いたのは、4月1日に各社で組織改編や人事異動があり、4月いっぱい新しい体制で今年度の戦略を議論、4月末から5月にかけてこちらに話がやってきたという感じだろう。

しかし、抱える問題や目的の具合、規模も受講者層も案件ごとに実にさまざま。プロジェクトの時期も、9末までのもの、年末までのもの、年度末までのものと多様である。また、ご相談いただく方も、研修に詳しい人事系の方もあれば、まったく不慣れという現場マネージャーさんもあり、受託案件というのはバラエティ豊かな経験ができて、自分の性に合っているなと思う。

新しいご相談をいただいたときには、ヒアリングの前後にわたって、これはどういう案件なのだろうという全体観と核心を、全身で感じ受けるように努める。私はそう瞬発力が高くないので、直観であたりをつけて、ロジックでじわりじわりと全体観と核心のピントをあわせていく、というやり方をしている気がする。

そんな感じで手探りしながら、このお客さんのこの相談にフィットする提案というのは、どういう課題設定で、どういう企画の骨格で、どういう中身の具象性で、どういう表現で落とし込まれたものなんだろうと、あちらこちら漂いながら一所に着地させていく。そうやって一つのドキュメントにまとめていくのは、なかなか趣きのある作業だ。正解もなければ、常に上には上があって、いつまでたっても100点満点に到達するわけではないのだが、それがまた味わい深い。

この間、白洲正子さんの「白洲正子自伝」を読んでいて、こんな一節に出会った。

修行をつづけていれば「極意はそのうちに、向うから歩み寄ってくるものじゃ」と教えたというのはほんとうのことで、人間が人間に伝えられるのはほんの僅かのことで、何事でも自得する以外に極意に達する道はない。だから型は単純であればあるほど理想的なのではないかと私は思っている。

そうじゃ、そうじゃ。と、私はこの一節を自分を励ますように味わった。アインシュタインも「何かを学ぶためには、自分で体験する以上に良い方法はない」と言っておる。そうじゃ、そうじゃ。

私もいくつかの思考のフレームワークをありがたく使わせてもらっているけれど、比較的単純な汎用性高い型をいくつか自分の中に定着させられれば、あとはまぁ数を頑張って増やすもんでもないかな、と思っている。パラダイムシフトが求められるとき、新しい専門分野をもつときなどは別かもしれないが、たいていのモデルは応用の範囲内であり、たくさんの型を情報あるいは知識として覚え込むより、いくつかの秀逸な型を自分のものとして使いこなせたほうがいいなと。

もちろんそれは、あんまりたくさん知っても、自分の中でうまく咀嚼しきれないという個人的脳のキャパシティ事情が前提になっているのだが。なので、咀嚼できる人は貪欲に吸収したらいいという話でもある。身の程をわきまえるというのは、後ろ向きな言葉に聞こえるかもしれないが、私は後ろ向きな姿勢で使わない限り、なかなか能率よいことだと思うのだ。自分が振り回されない加減で、良いものを取り入れる。自分がいい仕事をできるかぎりにとどめて、良いものを取り入れるのだ。

そうしたら、あとはとにかく一つひとつの案件に真正面から向き合って、その案件の目的にかなった成果を出すためにどうしたらいいかを考え抜くのと、やり抜くにかぎる、と思う。どんな案件にしたって、型にはまりきらない独自性がつきものだし、その独自性に対応できることこそが実務家に求められているところでもあると思う。というわけで、いただけたご相談に対して、時折トリップしながら誠心誠意頑張っております。という月末締めの近況報告。

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