« 本のしまい方 | トップページ | 自分の仕事を書く »

2012-05-20

自分の役割と概念的知識

自分の役割と、職種の定義と、工程とか専門分野の概念は、分けて考えないといけないと思う。ここを混同するとどうなるかというと、「それはビジュアルデザインの範疇だから、ビジュアルデザイナーの仕事であって、私の仕事ではない」という論が成立してしまう。でも、その3段階は別に必然性をもってつながっていないと思うのだ。

自分の仕事の役割は、汎用的な職種の定義とも工程とか専門分野の概念とも直接つながっているものじゃない。実務者であるかぎり、自分の役割というのは、「その仕事」の目的を叶えることだ。所属する会社、お客さんの求めや期待に応えることだ。そうして社会に貢献することだ。実務者の仕事は、その目的、求め、期待と直接つながっているのであって、職種定義や専門分野の概念からは独立したものだと思う。

もちろん仕事だから複数名関わることになるし、役割分担はある。「その仕事」の役割分担をするときには、ある程度それぞれがもっている職種の定義や専門分野の概念がものを言うだろう。○○さんは何職種だからどこからどこまで預かって、これとこれをやってというふうに。

しかし、それは世に普及する汎用的な定義や概念に沿うかどうかではなく、「その仕事」がより良い成果をあげるために、どういう役割分担をしたらいいか(あと、その仕事の条件やら、今の状況で対応可能な分担とか先々を見据えた教育的観点とか)を見据えて分担されるものだ。そうやって役割分担を考えるときに毎度一からタスク分けしていたら非効率だし、おおかたは職種や専門分野で割り振れるから、たたき台作成にうまいこと使っているだけ。それで、一人ひとりの仕事と、職種や専門分野がつながっているように見えるだけで、そのつながりはすべての仕事に絶対固定のものじゃない。

「その仕事」においては、他の人がやるより自分がやったほうが目的に適ったものが仕上がる、効率が良いという状況であれば、普通に提案されるべきものである。もし「その仕事」においては、自分がやるよりあの人がやったほうが目的に適ったものが仕上がる、先々の組織の力や社会貢献度も高まる、そしてそれが振られる人にとっても現実的に対応可能な状況であれば、そうなるように提案して手配するまでが自分の仕事だ。それは何も特別なことじゃないし、良いと思うなら提案するほうが全うだ。

クライアントや所属する組織から期待されている役割は、職種の定義に沿うことではない。工程や専門分野の概念の範疇におさまって、それに沿って正しくやることでもない。そこでよい仕事をすること、目的に応じた成果を出すこと。そのためには、職種の定義なんて軽やかに超えていいし、工程とか専門領域の概念なんて踏みつぶしていい。そういう気概をもってやらないと、いい仕事なんてできないし、他に応用できる生きた力も一向に身につかないと思う。

先人の知恵を軽視するわけじゃないが、絶対視できるものでもないし、それは汎用化された時点で個別性を欠いていることを忘れちゃならない。自分のケースにあうかどうかは自分で検証しないといけないし、どう適用し、どう適用しないかは自分で判断しないといけない。自分の知らない真逆の先人の知恵だって存在するかもしれない。

先人の知恵を知らないでやるより、そういう知識を得た上でそれに沿ったり、あるいはそれを知りながら別のアプローチをあえて取るというほうがいい仕事ができるんじゃないかって話で、それを盲信して従うままになって、個別性に対処する自分の役割を放棄してはならないと思う。

実務家は実務で成果をあげるのが仕事だ。その仕事で、そのプロジェクトで生々しい成果をあげることが求められている。よそに成果を示すために仕事してちゃいけない。意識を核心からそらしちゃいけない。自分の力は、その仕事の目的のために尽くされるべきなのだ。と、いうのが、ごく個人的な見解。

« 本のしまい方 | トップページ | 自分の仕事を書く »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56452/54754387

この記事へのトラックバック一覧です: 自分の役割と概念的知識:

« 本のしまい方 | トップページ | 自分の仕事を書く »