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2012-01-15

ルールを作りながらゲームをする時代

「○○に言及するなら××を読んでからにしろ」とか「○○も知らないで××を語るな」といった台詞を一度でも見聞きしたことがある人は少なくないと思う。私もそこそこある。と改めて振り返ってみたら、声を通して聞いたことはない気もしてきた。思い出せるかぎり、文字として吐かれたものを見たことしかないかもしれない。

まぁでもこういうのってネット上で、ある人がそんなに親しくない別のある人に向けて発しているのを時々見かける。これについて内田樹さんが著書「呪いの時代」の中で鋭い指摘をされていて、感じ入ったというか、言葉のシャープさに萌えた…。

(前略)学会発表後の質疑応答で、「あなたは……の論文を読んでいないのではないか」とか「周知の……についての言及がないのはなぜか」といった、「そこで論じられていないこと」を持ち出して、「こんなことも知らない人間に、この論件について語る資格はない」と切り捨てる態度に出る学者がたくさんいました。 僕はそういう「突っ込み」を見るたびに、どうして彼らは「自分の知っている情報」の価値を高く格付けする一方、「自分の知らない情報」が知るに値しないものだとあれほど無邪気に信じていられるのか、その理由がよくわかりませんでした。 (中略)「君は『こんなこと』も知らんのか」と気色ばむ学者たちは「こんなこと」が議論の始点になければならない理由について、ほとんど説明責任を感じていないようでした。 (中略)ネット論壇で頻用される「こんなことも知らない人間には、この論件について語る資格はない」という切り捨て方はこの手の「学者の腐ったようなやつ」のやり方をそのまま踏襲しています。

とはいえ、自分の周辺を見渡すかぎりでは「○○も知らないで××を語るな」的発言をする人ってそう見当たらないのだけど、じゃあ「言うか言わないか」「書くか書かないか」の問題じゃなくて、「思うか思わないか」の問題だったらどうだろう、というのを自分ごととして考えてみた。

自分がある程度精通していると言える分野について、ほとんど無知と言っていい人が知ったような顔で何かを語り出したら、その持論を自分だけでなく専門外の人たちに向けても壇上で得意げに語り始めたら、それでも「○○も知らないで××を語るな」という思いは一切心のうちに浮かばないだろうか。

これはなかなか、どうだろうな。なんてことを掘り下げ出したのは、今日深津さん(@fladdict)のこのtweetを目にして。

何だろうな、ソーシャルゲーのインターフェース。野生のインターフェースというかなんというか、専門知識なしに統計と自然淘汰だけで最適化された武骨な機能美というか、そういう世界観があって面白い。こっからさらにインターフェースマニアが仮説立ててチューニングしたら、おもしろそう。

その道を究めるには、確かに先人の知見は役に立つし、足場固めの学習にとっても能率的だと思う。けれど、その道をとにかく突き進むにあたって、必ずしも先人の知見を学ぶところから始めなきゃいけないって法はないし、それが唯一学習の能率を最大化するやり方とは言い切れないよな、と。けっこう断定的に信じられてきた気がするけど。

とりわけ、すでにものすごいボリュームで先人のなしたことが残されている分野だったり、今まさにものすごいスピードで変化していっている分野だったり、そのためさまざまなことが未整理で混沌としていて検証もままならない状態にある分野なんかでは、必ずしも歴史に学び、先人に学ぶことが最短の道じゃないかもしれないなと。

もう体当たりで、やりたいことや実現したいことに向かって試行錯誤で道を切り拓いていくような野生のアプローチっていうのもあるかもなぁと思った。野生といったって、結局100%野生ってことはなくて、これまで各々が歴史や先人に学んできたことを取り入れつつ推し進めることになるのは必然だし。

その分野の歴史やら専門知識をもつオトナから見たら、そりゃあ無謀に見えて危なっかしかったり、あさっての方に向かっていて馬鹿馬鹿しく見えたり、自分たちの拓いてきた道を荒らされているように思えてうとましかったりするかもしれない。

でもまぁ、過去あらゆる分野の先人が発見したものすべてを踏襲して生きている人なんて一人もいないわけで、五十歩百歩といえばそれまでだなぁとも思えてくる。何事もバランスで、極端に出ると社会的に良くないということもあるんだろうけど。

でも、現代はルールを作りながらゲームをする時代とはよく言ったものだなぁと思うのだ。今ってそういう時代だよなぁと。誰が言ったんだっけな。

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