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2011-01-08

あいのうた

母は退院し、家にいる。元旦から1月3日までは外泊届けを出して家に戻っていたのだけど、家にいたほうがずっと落ち着くというので外泊期間を延長。で、延長手続きにいった日に、母が外泊のまま入院費を払い続けているのはもったいないと言い出し、程なく退院手続きと相成った。

父は、家にいて入院費を払い続けるのでも安心料と思えばいいじゃないかと言ったが、母はやはり退院を希望。医師の許可も出て、それならばと病院であれこれ情報収集し、今後の自宅療養の体制を整えて退院をした。その後、体調に大きな波もなく、ある程度安定した状態で家でゆっくりしている。

私も今年の仕事が始まり、精神的にも落ち着いたので、できるだけ実家に戻る時間をもちながらメリハリをもって日々を過ごしている。年末は所構わず涙が出てまいったが、最近はそういうこともない。あの時期はもう脱したのだと思う。

この間、友人があたたかいメッセージをくれ、弱音をはきたくなったらいつでも、と声をかけてくれる人もあった。その気持ちがとても嬉しくて、ありがたくてたまらなかった。その一方で、そういえば「弱音」というのは今、心のすみずみ見渡しても特にないな、と思った。

先々またやってくるのは、おおよそ予想がついているのだけど、とにかく今はないのだ。無理しているのでも、見過ごしているわけでもなくて、ないのだと思う。

今はただ、自分のできるかぎり母を守るのだというところに立っていて、私は弱音をきく立場にあっても、言う立場には立っていないという感じがする。今私の心のうちにあるのは、あの、余命宣告をうけた翌日の朝に、母に送ったメールの思いだけだ。動揺の中で、とにかくはだかんぼの心のうちを、そのまま言葉にした。今あるのは、本当にこれだけ。弱さはない。

お父さんから、昨日電話でききました。
お母さんのこと大好きだから、涙がずっとずっととまらないけれど、何を伝えたらいいかよくわからないけど、とにかくお母さんにすごく感謝してるし、お母さんのこと大好きだよ。
私もお父さんも(兄)ちゃんも(妹)子も、みんなお母さんのことをかけがえのない大切な人だと思ってる。
それはお母さんがとてもすてきな人だからだし、私はいつもそう思って生きてきたし、私の良いところは全部それを受け継いでできているんだと思って生きてきた。
人間って結局どれくらい生きられるかなんて誰にもわからないけど、だけど今生きてるのはほんとだし、その時間のかぎり、お母さんの希望がしっかり叶うように、家族みんなで守るからね。しっかり守るから。
それでも、私たちにできることに限りがあるのかもしれないけど、お母さんは私たちをしっかり頼ってください。

この気持ちは、強い。しなやかで、強い。やっぱり、人は強くなろうと思って強くなるのではなくて、守りたい人がいるから、強くなるのだなと思う。だから今は、とにかく大丈夫で、日々笑って過ごしているし、落ち着いて過ごしているし、あたたかい気持ちを交換しながら暮らしています。ありがとう、ありがとう。

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コメント

大変なことになってたんだね。
自分が産んだ子がこんなに素敵に逞しく育ってくれたとしあわせな気持ちでいるんじゃないかと思うよ。
どんなに遠くにいても、毎日会えなくても、大切に思ってくれる気持ちは十分に伝わっているし、それで救われているはず。
でも切ないね。

きょうこちゃん、ありがとう。
気持ちをおしはかるのに限りはあるけれど、できるかぎりのぬくもりをもって包みたいと思います。できるだけ一緒にいて、穏やかな時間をもちたいね。年末年始、この3連休と、ひさしぶりに長い時間を両親と過ごしています。

ブログを読み始めてから、ご家族のそれぞれの皆さんの立場での想いが良く伝わって来て、

誰にでも最期は来る。
もしかすると自分が先になるのかもしれないけど、
息子として、夫として、母や妻を大切にしたいと思うようになりました。

ありがとう。

saltpanさん
これを読んで、ご自身の家族を想う機会としていただけたというのは、私にとってもこの上なくありがたいことです。ほんとに、うれしいです。
私も、誰にも最期がやってくるのだなと、以前より実感をともなって考えるようになりました。
大切にしたいですね。身近な人、限られた時間を。

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