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2009-12-28

吉本隆明さん

吉本隆明さんといえば、「よしもとばななのお父さん」という紹介ではなんとも全体を言い切れていない悪寒がする思想界の巨人ですが、私はこれまで一冊も著書を読んだことがなくて、ここにきてなんとなく読んでみたいなぁと思う契機に恵まれました。「意を決して」することより、「なんとなく」したいと思うことのほうが、実はなんとなく価値があるような気がしないでもない(曖昧)。

ということで著書を読んでみようと思ったのですが、何も分かっていないながら、この方の本は適当に読み出してはいけないような小者ならではの嗅覚が働きました。なんだかスゴそうなものというのは、登山口を間違えちゃいけないというのが小者家家訓の第3条です。

それで糸井重里さんが仲介役をしてくださっている「吉本隆明の声と言葉。」「悪人正機(あくにんしょうき)」を読んでみました。なんて心強い仲介役。糸井さんて仕事能力もすごいのだろうけれど、自分をどう生かしていくとどんなふうに社会に健やかな風を送れるかみたいなところを自然体で感受してフラットに俊敏に自身を動かしていくようなところがすごいなぁと思う。なんかよくわからない説明ですね…。つまりすごいと。

で、2冊を読んでみて。気になるところばかりでここでどうにもまとめきれませんが、とにかく吉本さんは

結局は、大自然の動きを見るように眺めるしかないんですよね。

ということを思っていて、実際にそれをあらゆる面で深くやってのけている人であり、その考えを人に伝える言葉力みたいなものをもっている人であり、そこに力みがないというのが、僭越ながら私の第一印象。

一例として「悪人正機」の『「ネット社会」ってなんだ?』という章では、よくあるネットにまつわるいい悪いの論議に対してこう話しています。

どんどん発達していくことに伴って、よくない問題が出てきたら、その都度、どういう防ぎ方があるかとか考えればいいんで、発達していくこと自体を阻止しなきゃいけない理由はちっともないんですよね。小さな分野での問題を、全体論議にしちゃうのは、僕は違うと思いますね。

何を全体の論議のテーマとして、何を小さな調整事項と捉えるか、これを捉え違えた論議は巷にあふれている気がします。吉本さんは大正生まれですが、私も年を重ねても変化する環境、時代をこういう視野・視点で捉え続けていきたいし、年を重ねるほどに広く、深く、フラットでありたいなぁと思います。

あとまぁ、お気に入りを書き出したらきりがないんだけど、こういう心は私の心に深くなじみます。

でも、それはやっぱりダメなんですよ。真剣に考える自分の隣の人が、テレビのお笑いに夢中になっていたり、遊んでいたりするってことが許せなくなってくるっていうのは、間違っているんです。

というわけで、これから純粋な著書を読んでみようと思っているところで、またどこを登山口にしたらよいか検討中。一冊目にお薦めの図書がありましたらぜひ教えてください。

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コメント

僕は、吉本隆明さんといえば「音楽機械論」でしょうかね。トレヴィルから出てたハードカバーをファッション小物として小脇に抱えていました。

サンプリング技術が出てきて、音楽が脱構築みたいなことが流行った時の対談集です。登山口にはならないけど、筑摩文庫から出てますよ。
http://dangomushi.blog.so-net.ne.jp/2007-11-04

久しぶりに取り出して、読んでみようかな。吉本隆明がたどたどしく弾くフェアライトCMI(サンプリングシンセサイザー)の音が入ったソノシートつきです。

「音楽機械論」ですか…。またたいそう難解そうな面構えですな。おかもとさんくらい音楽に精通していないと外国語に見えそうな不安も。。
でも対談集というのは読みやすそうですね。と思ってリンク先覗いたら、坂本龍一さんとの対談ですか。教えのとおり、2冊目以降でチャレンジしてみたいと思います。
「ファッション小物として小脇に抱えていました」というのがまたすごいなぁ(笑)。本の用途ってほんと、さまざまですね。

対談集じゃなくて対談本ですね。ごめんなさい。内容は、難解じゃないですよ。割にわかりよいです。

当時は、構造と力(浅田彰)とか、わからなくても持ち歩くのが流行ったんですw

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