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2007-07-26

河合隼雄さん逝去

一度も会ったことがない人の訃報を聞いて、こんなふうに心細い気持ちになったのは初めてのことだと思う。自分が生きている世界から、いなくなっちゃったんだなぁ……という心細さ。

河合隼雄さんが他界されて一週間。生前残してくれたものに感謝の気持ちを込めて、彼の著書を読み返してみた。彼の本を読んで、私は以前「浅薄な善意」という話を書いた。

この本のこと、河合先生のこと、ここで自分なりに紹介してみようと試みるも、なかなかうまく言い表せる言葉が見つからない。行間に含まれる、その素晴らしさを超えたスゴサみたいなものを表すには私の表現力が追いつかない。

だから、これからも何度だって読み返して、まだ読んでいない本も読んでいって、もっと彼が私たちに伝えようとしていたことを吸収しようと思う、まずは。そしていつかは、この本で語られていることをまるまる身にしみこませて、わが身をもって体現するような人になっていたい。

人が進歩する過程ではつきものの、その人が抱える不安や不安定さを前にしたとき、その不穏なものたちをほうきで掃うようにして片付けて「はい、もう大丈夫!」なんて一応の安心の得方、与え方は決して選びたくない。

自分のものであれ、人のものであれ、胸のうちに生じる不安や不安定さはそう簡単にどかせないものとしてしっかり受け止めて、討たれてざっくりきて七転八倒 しながらも、それでも壊れないしゆるがない、(彼がいうところの)「基礎的安定感」をもった人間として、自分とも人とも向き合えるようでありたいと思う。

逆に、表層を覆い隠してくれる、薄っぺらい見世物用の安定感なんていらないし、何事にも動じないその場しのぎ用の討たれ強さもいらない。傷つくことも覚悟 の上で、自分の基盤を支え続けられる安定感を持てているのがいい。言葉でいうほどたやすくないけど、それも踏まえつつ実はただ今実践中。ちっちゃなシャベ ルしか持っていないけど、静かに自分の奥行きを心のうちで掘り続けている。

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