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2007-02-12

「幽霊たち」

Paul Austerの「幽霊たち」を読んだ。深い、深すぎるよ、ポール。平衡感覚を失ってしまってふらふら。私には引用するぐらいしか彼の作品性を表す術がない。でも書き留めておきたい。というわけで、この話の核をなす『』内はすべて引用です。予めご了承ください。

まずは訳者柴田元幸氏のあとがき。彼の作品は『何ひとつ起こらない状況からきわめて刺激的な文学を生み出す』という文学的上質さをもっている。お話としてまず面白い。これってとても大事なことだ。「面白くないけど深い」というのは小説としてはイケテナイわけで。

その上でさらに、彼の作品は『登場人物が何かについて考えるとき、それは必然的に考えるということの本質を読者に考えさせずにはいない』という特徴を持つ。例えがチープだけど、本当にまるで魔法にかかったように、考えるということについてとことん考えさせられるように仕組まれている。

帰り道を迷ってしまうような、平衡感覚を失ってしまうような恐怖感がずっとつきまとっていて、オースターが好きな人ってほんと度胸あるなぁと感心してしまう。私も一冊で一気にとりこになってしまったものの、二冊目を読むときは心して取り掛からなければ、とちょっと力んでしまう。でも次の休みに買いにいってしまいそう。

最後に「幽霊たち」の作品の中から。しびれる言葉を取り上げていったらそれこそきりがないんだけど、最も短く独立性があって心を鷲づかみされたもの。『書物はそれが書かれたときと同じ慎重さと冷静さとをもって読まれなければならない』す……素敵だよ、ポール。

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