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2005-10-27

安岡力也とさつま揚げ

何百年も前から、どこかに移り住むこともなくずっとそこに暮らしてきたに違いない。ずっと見つめていたら、そのうちおへその辺りに表情を浮かび上がらせて何か語りかけてきそうな大木たち。

木陰には結構な数の人たちが集まっている。頭にハチマキをしてこれからマラソン大会でも始めるかといったテンションで、みな一様にイキイキとした顔をしておしゃべりしている。いくつかの小集団ができていた。それでも、皆の影は一本の大木の木陰の中にすべて飲み込まれていた。

私がいた小集団にはさんまさんもいたし、安岡力也もいた。さんまさんはよくしゃべっていたし、安岡力也は少しムッとしていた。少しすると人々はゆっくりゆっくりと移動を始めた。いよいよマラソン大会のスタート地点に向かうといったふうに。

大木の木陰から抜けて、頭上には薄く青い空が広がる。視線を落とすと、たくさんの出店が並んでいて、出店によって遠くまで通りがつくられている。背景には大木の子どもたちが列を成している。耳に届く音はそれまでずっと「ざわざわ」としか聞こえなかったのに、空の下に出ると急に人の声が近くなった。

私は安岡力也と一緒に、まるで旅モノのテレビ番組にでも出ているかのように一軒の出店の前で足を止める。安岡力也が店のおばちゃんと交流を深めながらさつま揚げを口にする。おばちゃんが「どうだ!うちのさつま揚げは」と自慢げな表情を浮かべる。安岡力也が満足そうな表情でそれをほお張る。

それじゃ私も……と思う。手を伸ばそうとする。そこで目が覚めた。なんだ。なんだ。時計を見る。時計の針は8時きっかりをさしている。一時間後には会社にいなくちゃならない。一時間後、私は会社の自席に着席していた。さつま揚げは食べられなかったけど、会社には遅刻せずに済んだ。なんだ。なんだ。

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